スパイ・ハイスクール
「嘘......だよな、奏?原が依頼人だなんて......」
私は驚きのあまり尋ねた。双子は訳が分からない、といった顔をしているが。
「何故、俺が嘘をつく必要があるんだ」
「え、原が嫌いな私への嫌がらせの為の嘘だったりして......」
ばこんっ。
いてっ。書類の入ったファイルで殴られた。
「そんな訳あるか。現実逃避もそこそこにしろ。それに証拠もちゃんとここにあるんだから」
そう言って奏は書類を取り出した。さっき、現実逃避していた私を容赦なくたたいたファイルの中から。
その書類は、---契約書だった。
「どうやら本当みたいだね、棗」
徳佐が心底嫌そうな顔をして、呟いた。