スパイ・ハイスクール
黒猫に依頼をする時に、必ず書いてもらう契約書。
依頼人の身分の証明や、依頼を実行する期限などを記すことになっている。
奏が手にした契約書には、原啓子という名前から、生年月日、住所、勤務先などが細かく記されていた。
原と黒猫が契約した、というばっちりすぎる証拠。
「ね?」
そう言って、にこやかに笑顔を見せる奏が憎たらしい。ああくそ、奏の奴、絶対楽しんでやがる。
「何で原の依頼なんて引き受けたんだよー」
「そうとう困っている様だったし。それに断る理由なんてないだろ」
そう言って、奏は契約書の一番下の欄を指差し「な?」と私に同意を求めてきた。
契約書の一番下の欄......。そこには【依頼内容】がある。
一番大切な契約書の役割。それは、依頼の内容が利益の為や殺人では無いことを確認することである。