スパイ・ハイスクール


黒猫に依頼をする時に、必ず書いてもらう契約書。

依頼人の身分の証明や、依頼を実行する期限などを記すことになっている。


奏が手にした契約書には、原啓子という名前から、生年月日、住所、勤務先などが細かく記されていた。
原と黒猫が契約した、というばっちりすぎる証拠。


「ね?」


そう言って、にこやかに笑顔を見せる奏が憎たらしい。ああくそ、奏の奴、絶対楽しんでやがる。


「何で原の依頼なんて引き受けたんだよー」

「そうとう困っている様だったし。それに断る理由なんてないだろ」

そう言って、奏は契約書の一番下の欄を指差し「な?」と私に同意を求めてきた。

契約書の一番下の欄......。そこには【依頼内容】がある。


一番大切な契約書の役割。それは、依頼の内容が利益の為や殺人では無いことを確認することである。

< 26 / 165 >

この作品をシェア

pagetop