スパイ・ハイスクール

ニヤリ、という効果音が付きそうな意地汚い笑みを見せながら原先生はこう言った。


「この問題を解いてちょうだい。これくらいの問題、ちゃあんと授業を聞いていたら解けるわよねぇ?」


......うわあ。ちゃんと授業を受けていない、私に対する嫌味がひしひしと伝わってくる。相変わらず嫌な女だな。



いざ黒板の前に立ち、問題を見てみる。

……問題を見た瞬間、私は思った。


『何が授業を聞いていたら解ける、だよ。めちゃくちゃ難しいじゃんか』、と。


それは、教科書のレベルよりもかなりの難問だった。いくら真面目に授業を受けていない私にだって難しい、ということは分かる。それに、クラスのあちらこちらで、この問題は難すぎだろ、との声が飛び交っている。

あの原のことだ。ここ最近、ずっと授業中ぐっすりな私に此処で恥をかかせたいのだろう。まあ、授業を睡眠にあててる私が悪いのだけれど。

しかし、もう少しまともな方法はないのだろうか?毎回毎回、原のやり方の汚なさには反吐がでるのだが。


『あらあ?どうしたの神谷さん?解けない訳ないわよねぇ?』


私が解けないと思って聞いているのだろう。本当に汚いやつだ。



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