スパイ・ハイスクール


「えと、隣っていうのは......?」

「この【依頼内容】に載っている原先生のお隣さんのこと。怪しいと思わない?」


そう言って、食い入るように依頼内容を見続ける真希。

こういうことだったのね。

私の言う隣は徳佐のこと。
真希の言う隣は依頼内容に出てくるお隣さんのこと。

ちらりと横をみると、徳佐が勝ち誇ったような顔をしていいた。ああ、なんだか癪に障る。

でも、真希の言葉が引っかかる。徳佐と決着をつけるのは、依頼内容を聞いてからにするとしよう。


「で?依頼内容はなんなの?」


そう聞くと、まだ読んでなかったの?と少し呆れ顔で真希が契約書を見せてくれた。

と、同時に奏が簡単に依頼内容を説明する。


「今回の依頼は“アパートの秘密解明”だ」


私は奏の眼鏡の奥の、黒色の瞳がきらりと光るのを見逃さなかった。

ああ、嫌な予感がするぞ。


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