スパイ・ハイスクール

......しかし、私は生憎、原の思い通りにはさせるつもりは、無い。



カツカツ、カツカツ。教室にはチョークが黒板に擦れる音だけが響く。

クラスメートや原は、私が解けるとは思っていなかったのであろう。皆、息を呑んで私の問題を解く様子を見ている。


(理数系は得意なんでね)


ガツン。静かで解きやすかったな、なんて思いながら私はチョークを置いた。音が少々乱暴なのは苛ついているからご愛嬌、ってことで。


「原先生、どうでしょうか?」


にっこり、という営業スマイルで私は原先生に尋ねた。


「......チッ。正解よ」


ばっちり舌打ちが聞こえているのだが。それって先生としてどうなの?

まぁいいや。とりあえず気分いいし。


その後、原の不服そうな顔を見て、私がえらく満足したのは言うまでも無い。


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