スパイ・ハイスクール
「もー!母さんも徳佐になんとか言ってやってよー!!」
私はお母さんに救いを求めた。が、
「そう言う前に、棗もちゃっちゃと起きなさい。徳佐は目覚ましが無くても自分で起きてるんだからー」
「だって「だって何?」
徳佐に対して棗を起こすのは一苦労なんだから、とお母さんは半ば呆れて付け加えた。嗚呼、救いの手は何処へ。いや、私にはもともと無かったのか。
......知ってるよ、知ってるよ!徳佐が小さな時から、1人で寝起きが完璧だったことくらい!それに対して、私が今でも寝起きが悪いことも知ってますよ!流石にもう自覚済みですよ!ええ!
心の叫びは誰にも届きやしないけど、思っちゃうのが人間。
そんな私の心情を知ってか知らずか、
「分かった?」
と聞いてくるどこか満足げなお母さん。
「......へい。分かりました」
ああ、今日は徳佐にもお母さんにも負けてしまった。