スパイ・ハイスクール


「てかさ、思ったんだけど、原先生が本部に来た時、誰が対応した訳?」

「棗も俺も双子も昨日まで知らなかったんだから、奏様でしょ」

「だって奏様もこの学校も生徒じゃん。原に顔見られたら厄介になる、って事くらい、あの奏様なら分かるでしょ!」

「......確かに、言われてみればそうだね。棗にしてはいい着眼点じゃん」

「ムカツク!その上から目線ムカツク!!」

「俺からすれば奏“様”っていう呼び名がムカツクな。からかってんのか、そこの2人?」


刹那、私と徳佐の2人は固まった。言葉で言うならピキッといったところだろうか。それほどに、あの人の言葉には重みがあって。

背中にたらり、と嫌な汗が流れる。

恐る恐る集中する。もう、能力なんか使わなくても誰が居るかくらい分かるけど、それでも実際に目で見るというのは勇気がいるものだ。

私の脳裏に映った人物。それは、




紛れも無く、予想通りの奏だった。


「聞いてんのか、2人?」


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