スパイ・ハイスクール

昨日、双子が例のアパートへ行くと、ちょうど山口さんが駐輪場にいて自転車から降りているところだった。きっと職場に行く通勤方法が自転車なのだろう。

とっさに2人は物陰に隠れ、様子を見ることにした。勿論、万が一のことを考え2人は純希の能力で透明化していた。


この時、純希が酷く怖がっていたらしく、奏が「今度、真希に会ったらお疲れ様と言ってあげてくれ」と言っていた。

あの姉御の真希をどんなことして困らせたんだよ、純希。




まぁ、兎に角、2人の目に映った山口さんの見た目は、どこにでも居そうな30代前半の男性で身長は175センチメートル程。双子が居る方向に向かって、猫背ぎみに歩いていたらしい。



そして、少しずつ近づいて来るにしたがって、少しずつ明らかになる“異変”。

先に気付いたのは真希だった。

両手で自分の顔を隠し、周りの石に躓いたり、電柱にぶつかったりしながら歩いている山口さん。

顔を隠してしまったら、目が見えなくなるのは当然。それを承知でなにをやっているのだろうか。


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