スパイ・ハイスクール
「は?なんで?」
「乱暴に置いたでしょ、さっき。まぁ、いらいらしてたのは分かるんだけど、ずっとチョークさん悲鳴をあげてるし」
ああ、そういうことか。徳佐は
「聞こえる」
から。
◆
「そんなに酷いのか?」
周りには聞こえない声のボリュームで徳佐に尋ねる。
「痛い、痛い、って言ってたよ。それに、その声聞いて周りの物達も『何様のつもりよ、あの子!』って怒ってたよ」
「うわあ、めんどくさ。って痛!ちょ、ちょっと、痛!叩かないで、叩かないでっ」
「チョークの気持ちになって考えな。あと、その悲鳴を聞き続ける俺の気持ちになって考えろ」
「......っ分かったよ」
不本意ではあるけれど、バシバシと豪快に私の頭を叩いてくる徳佐を止めるため、私は仕方なく徳佐に従った。もう1度言う、不本意だけど。