スパイ・ハイスクール
クラスの皆から見ると、かなり変な光景だろう。徳佐と私の2人が黒板の前に立って、1本のチョークを見つめているのだから。
「さっきはすいませんでした。つい、原に……原先生にイラついていて、あなたに八つ当たりをしました」
私は、先ほど乱暴に扱ったチョークさんに謝っている。しかし、私は徳佐のような“能力”は無いため、チョークさんの答えを聞くことはできない。
「あら、私の言葉が分かったの?だって」
「いや、今、徳佐が通訳してくれてる時点で分かると思うけど、徳佐の能力のお陰で分かるんだけど」
「......うん。分かった。......うん。俺もそう思うよ。だよね、ガキだよね。うんうん」
「ちょい待て徳佐。何話てんの?」
「うん、そう言っておく。ホントにごめんね。今後気をつけるよう言っておくよ」
「ねえ、何話して「さあ、話は終わった。行こうか」
じゃあね、とチョークさんに向かって、私とチョークさん意外の人には聞こえない声の大きさで徳佐は言った。そして私の手をぐいぐい引っ張り、誰もいない廊下に連れてこられた。
勝手に連れてこられて、勝手に話を終わらされて、勝手に連れ帰される。
これって立派な拘束ってことで訴えられないかな?
......無理だな。
1人ノリつっこみなのは、少々苛ついているため、ご容赦ください。