スパイ・ハイスクール
◆
「ちょ、何なの?」
いきなり連れてこられた私は不満たらたら。
「チョークさんから、“あなたがいちいち通訳するのも面倒だから伝えておいて”って言われた伝言があるんだよ。今から言うからちゃんと聞きなよ。
これからは物に八つ当たりするのを止めて欲しい。それはガキがする事よ。だって。それはガキがする事よ。だって。重要だから2回言ったよ。まあ、棗の中身は五歳児だから、仕方ないか」
「ちょっと待て。何で勝手に納得してんだよ。しかも何2回も言ってくれちゃってんの」
「……棗がガキだからに決まってんじゃん」
「いつから決まったんだよ、オイコラ!」
「サーネー。ワカンナイ!」
本当に、いつ決まったんだよ。てか誰が決めたんだよ。
「で、根本的なイライラの原因である原先生は今、なにしてんだろ
うね?」
「今、2階廊下を歩いてるよ」
「......随分と能力を使えるようになったんだね。何か言ってる?」
「えーと、ちょっと待って」
なんだか上から目線で馬鹿にされた気がするが、とりあえずそこは気にしないでおこう。徳佐が上から目線なのはいつものことだから。