スパイ・ハイスクール
「ばっちり晴れだわ」
真希が開きっぱなしの携帯電話を見て言い切る。
「つまり、今日もきれいな月が見えるはずなんだ。ここまでは分かるな?」
こくり、うなずく面々。
「ここでポイントがある。2人はその月に背を向けるようにして立って、話を聞いて欲しいんだ」
「......つまり、山口さんが俺達の方を向くと、自然と月も視界に入るようにしろってこと?」
「そういうこと。馬鹿な棗のために分かりやすい説明をありがとう、徳佐」
「いえいえー、どう致しまして」
「......とりあえず徳佐ムカツク!」
なんなんだ。
さっきまで考え事ばっかりで、心ここにあらずだったのに!
「そして、俺・純希・真希の3人は山口さんを円で囲むように待機する。もちろん山口さんがなんらかの抵抗を見せた場合は全力で確保だ。
今回の作戦、分かったか?」