スパイ・ハイスクール




始まりの合図は、
決して大きな声ではないが興奮が隠し切れない、そんな声だった。


「来たっ!」


声を出した純希の指を指すほうを見れば待ち人、もとい山口さんの姿があった。

作戦を聞き終わってから10分程たった今、ついに行動開始という訳だ。

真希と純希の報告どおり、山口さんは自転車を降りている。


相手の身長は徳佐と同じ175センチメートル程。猫背。推定30代のサラリーマン風。

あの人に違いない。


「棗。動くよ」

「了解っ」

「真希、純希。俺達も配置につくぞ」

「了解」
「分かったよぉ」


5人は散らばった。



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