スパイ・ハイスクール
そして私達は山口さんに接近した。
奏曰く「話を聞かせて欲しい」と言うだけだから、別にコソコソと隠れる必要は無いらしい。
だから堂々と。いたって普通に。
(ジャージと金髪の2人組っていう時点で、もう普通じゃないけどね......)
「あの、少しお話を伺わせて欲しいのですが」
そして、私達はついに山口さんに目の前にやって来た。
奏に言われた通り、月を背にして立つ。月明かりがここまで届いて、私と徳佐の2人分の影を作っていた。
山口さんはちらり、とこっちを見て、
「ななななんでしょうか?」
と尋ねかえして来た。
目が泳がして、しかも肩まで震わせて。