立夏物語 【キセコン】

Ⅲ】祭りの残照

◆◇◆◇◆◇

人波をすり抜けて、まことは祭り囃子が遠くに聞こえる神社裏の楠の幹に立った。


この木には思い出が有る。


まことと秀介は幼馴染で子供の頃、夏休みと言えば、この境内で日が暮れるまで遊んだものだった。


秀介は蛇が嫌いだ。


だから、まことは境内で蛇を見つけてはそれを捕まえて、秀介を追いかけまわし、彼の鼻先にぶら下げては脅かして見せた物だった。
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