薬指の誘惑
始まりは安物の指輪
『ちょっと!美沙!』


「何よ、クリコ」


周りからしたら危ない人だけど、アタシは今自分の左手と話している。厳密には薬指と。



『買い物行きたいんだってば』
薬指のクリコがアタシに提案する。

「はいはい、わかりましたよ」
クリコのしつこさに負け、アタシは買い物に出掛けることにした。
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