薬指の誘惑
こちらを向いて爽やかな笑顔を見せる幹也がいた。


遠藤幹也(えんどうみきや)。アタシと幼稚園から中学校まで一緒だった近所の幼なじみ。
ちなみに初恋の相手。小学校から中学校の間、九年間好きだった。高校は別になったから、好きという感情も自然消滅していったのだけれど。



「久しぶりじゃない!買い物?」
相変わらずかっこいい幹也にドギマギなアタシ。


「やっぱり美沙じゃん。久しぶり。俺は彼女と買い物だよ。1人?」
そう言う幹也の後ろから、控えめに顔を覗かせた可愛らしい女性がぺこりとお辞儀をした。



『彼女できたんだ・・・。』アタシはちょっぴり切なく、心の中でつぶやく。
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