ナミダボシ


それから何してたのかは知らない。


気付いたら涙が流れてて気付いたら始業チャイムが鳴ってた。
もう行かないと、と思う気持ちともういいやっていう気持ちが混ざって動けずにいた。

「ってかこんなぐちゃぐちゃの顔で行けないし…」

目が腫れて二重の瞼が一重になっちゃってるし。

氷で冷やそうかな…


そう思っていたらいきなり物音がした。


ーーガチャ。


…誰?お願いだから早く出てってよ。

アタシは酷い顔を見えないように下を向いた。

だけど出て行くどころか段々足音が大きくなってきた…


やめて…来ないで、泣き顔なんて見られたくない。


「おい。」



これってアタシに言ってるのか…?

下を向いてるせいで顔が見えず返事をするか迷った。

「聞いてんのか、蓮見。」


アタシの名字。アタシは下を向いたまま小さくはい、と答えた。

そのせいで声がくぐもって耳に届いた。


「大丈夫か?」

その人が近づいて来てしゃがんだのを感じた。

「はい、大丈夫なんで心配しないで下さい。」

ホントに早く行ってほしかった。一人になりたかった。
なのにその人は横に腰掛けてアタシの前にジュースを置いた。

なんなの、この人…

「それで目冷やせ。」


…へ?

なんで?

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