プ リ ン ス
「藍っ、こっちこっち。」




桜井が片手をブンブン振りながら俺を呼んでいる。




恥ずかしい…。




赤の他人のフリをしたいけど、そうはいかないので、すばやく桜井の所へ行った。




この前と同じ、自動販売機という箱のような物の近く。




そこのテーブルにトレイを置き、椅子に座った。




手を合わせてから、フォークとナイフをもち、大きなハンバーグを小さく切って口の中に入れた。




『……おいしい。』


「だろ?」




上質な肉じゃないけど、どこか素朴で優しい味がする。
ハンバーグの中にはチーズが入っていて、とろ〜りと肉の中から流れてくる。




デミグラスソースはチープな味がするけど、このハンバーグには合っていてちょうどいい。




隣では、桜井が口の中にいっぱいハンバーグを入れてはふはふ言っていた。




それがおかしくて、心の中でクスリと笑ったのは内緒だ。








「ここいいか?」




上から声が聞こえ、上を向くと、なんだか見たことあるような顔がいた。




『どうぞ……




凜城先輩。』




そこには、黒龍リーダーの凜城美影がいた。




そして、その後ろには




「鷲矢も座れ。」


「はい。」




同じクラスのリーダー的存在の、黒ネクタイの奴がいた。




名前は……知らない。
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