プ リ ン ス
「……そう。
まぁ断られるとは思ってたけど。」


『じゃあ最初から言わないで。』


「ごめんごめん。本題はここから。」


『?』


俺は頭に?を浮かべて青空先輩をチラッと見た。




「青龍全150人中、男子100人を相手にして、藍が負けたら強制的にうちに入ってもらう。」


『勝ったら?』


「勝ったら藍の言うことを1つ聞いてやる。」




羽藍はニヤリと口角が上がった。




『その言葉……忘れないでね。』


羽藍はそう言うと、食べ終わった食器を恭の所に置き、財布を持ってその場を後にした。




「え!?これ俺片付けんの!?」


恭は自分と羽藍の分のトレイを持って急いで洗浄置場にいるおばちゃんの所へ行った。




青空海吏は恭を見ながらクスクスと笑っていた。





――――…
――――――…




「今日は満月だな……。」


要が俺の頭に紅のウィッグをつけて呟いた。




『だから今日行くんだよ。』


「そっか。」




俺は準備を整え、暗闇で光る繁華街へと繰り出した。




琥珀色の瞳が月に反射して光る……。




そこには紅月狼の姿が……。




羽藍は黒いパーカのフードを深く被り、街中を歩いていた。




『今日も荒れてるな……。』




あちこちから聞こえる喧嘩の音、薬の臭い、叫び声。




キャバクラやホストのキャッチがうざい……。




俺はキャッチを振り払い、喧嘩の音が聞こえる所へ気配を消しながら近付いた。
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