プ リ ン ス
他はもう俺が倒してしまったから、青龍の男と2人きりになった。




俺は青龍の男に近づき、しゃがんだ。




『大丈夫か?』


「…は……はい……。」




どうみても大丈夫じゃない……。


痣だらけだし、骨折も何カ所かしてるだろう。
紅龍の奴らは骨折しない程度にしたから大丈夫。




俺は溜め息をつき、ある所に電話した。




プルルルルル……ガチャ




《もしもし。》


『匠?』


電話したの羽藍の兄、匠だった。




家では“お兄様”と呼んでいるが、2人きりの時は呼び捨てで呼んでいる。




《どうした?》


『怪我人1名送るから手当てして。』


《わかった。お前もくるのか?》


『行かない。迎えの車ちょうだい。』


《わかった。場所はどこだ?》


『蓮見町の繁華街の○○ビル辺り。』


《了解。すぐ行く。―ガチャ》




電話が切れると、携帯をポケットに入れて、男に視線を戻した。




『立てる?』


「……。」




立てないか……。




羽藍は、男の腕を自分の肩に乗せて、立ち上がらせた。




「―ッ」


『ごめん。ちょっと我慢してくれ。』




俺は男を背中に乗せて、ビルの前まで移動した。
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