プ リ ン ス
出発
「…―ま…」
「お嬢様ッ」
『んー…。』
「起きろー。」
要の声が聞こえ、私はうっすらと目を開けた。
『要ー?』
「おはようございます。」
『ふぁー…おはよう…。』
私は大きな欠伸をし、身体を起こした。
「アーリーモーニングティをご用意しました。」
『ありがとう。』
「ケニア産オーガニックだよ。」
私は紅茶を一口飲んだ。
寝不足の脳が一気に覚める。
飲んだ瞬間に優しく包み込むような甘さが広がり、その後に茶葉の味をしっかり感じる。