プ リ ン ス
皆に微笑みかけ、手を振る。


「「「「「キャーーーーーッ」」」」」




女の子達の歓声の中を微笑みを崩さず歩いていく。




バタバタバタバタッッ




前列にいた女の子達はキラキラとしたプリンスの微笑みを受けて倒れてしまった。




私はその中の一人に跪く。




『大丈夫?』


憂色を浮かべ、手を差し延べる。




「はっ…はい////」


女の子は真っ赤な顔を隠すことも出来ず、躊躇いながらもプリンスの手をとった。




「「「「「キャーーーーーッ」」」」」




また周りが騒ぎ立てる。




もう慣れてしまったこの日常。




私は女の子を立たせると、いつもの微笑みを向け、その場を去った。




プリンスの長い脚がコツコツと足音を鳴らし、颯爽と校舎内に入っていく。




校内に入る瞬間まで、女の子達はプリンスをうっとりとした視線で見つめるのだ。






これが聖リリィ女学院の朝の日課。




百合の花が咲き乱れるこの学園は、プリンスという一人の女生徒を引き立てる役割に過ぎない。
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