透明人間になれる薬【BL】
野宮が、家のインターホンを鳴らす。
「すみませーん、小吹君と同じクラスの
野宮と言います。お見舞いに来ました」
『……お見舞い?』
不審そうな声。
母さんだ。
僕は学校に行ってると思ってるんだから、
変に思うのも無理はないだろう。
「あの、小吹君今日休んでますけど、
……風邪ですか?」
野宮も、若干窺うような声だ。
『あ、ええ、そうみたい』
曖昧な返答。
見舞ってもいいかと問う野宮に、
部屋を見てきたらしい母さんは
『ごめんね、あの子具合悪そうだから』
うつしちゃいけないし、と言って
プリントを代わりに受け取っていた。
そりゃそうだろう。
僕は居ないんだから。