龍とわたしと裏庭で【おまけの圭吾編】
第三話 嵐の夜は君と
「圭吾さん、圭吾さん」

志鶴の声がする。

「何? どうした?」

眠っていた僕は顔をしかめて、目をしばたいた。

真夜中の暗がりの中、志鶴がベッド脇に立っている。

「一緒に寝ていい?」


一緒に?


半分寝ぼけた頭を何とか回転させる。

ああそうか、分かった。


「おいで」

掛け布団を軽く持ち上げると、冷たい空気と共に志鶴が横にすべりこんできた。

志鶴は居心地のいい体勢になるまでモゾモゾと身動きし、僕の胸に顔を埋めた。

「雷か?」

志鶴は雷が大嫌いだ。

「うん。まだ遠いけど」

僕には風の音しか聞こえないけど。

人間って嫌いなものには敏感だからな。


腕をまわしてそっと抱きしめると、満足そうなため息が聞こえた。
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