龍とわたしと裏庭で【おまけの圭吾編】
眠れない夜を僕に与えて、翌日の午後、志鶴は帰って来た。


僕の顔を見るなり、すねたように口を尖らせる。


ああ、一体何を耳にしたんだ?


「圭吾さん」


「ん? 何?」


「みんなと話してて気がついたことがあるの」


冷や汗が出る。


「圭吾さん、わたしにプロポーズしてくれてない」


えっ?


「しただろう?」


「してない。『志鶴がいいから考えておいてくれ』って言っただけだもん。どうしてちゃんとプロポーズしてくれないの?」


情けない理由からだよ


「ちゃんとプロポーズしたら断られるかもしれないから」
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