龍とわたしと裏庭で【おまけの圭吾編】
第十話 鏡よ 鏡
志鶴がクローゼットルームの大きな鏡の前で顔をしかめている。


何してるんだ?


鏡の前で横を向いたり、前を向いたり

洋服の丈を気にしているわけではなさそうだ。


僕は、生真面目な表情を浮かべる彼女にしばし見とれた。


近頃の志鶴はどんどん綺麗になる。

うちに来た最初の頃はただ可愛いだけの女の子だったのに。

これは志鶴に恋をしている僕の欲目だろうか、それとも志鶴が大人になりかけているせいだろうか。

まあ、年齢よりも子供っぽいのは相変わらずだが。


「志鶴?」

僕が声をかけると、志鶴は振り向いてニッコリと笑った。

「圭吾さん、お帰りなさい!」

「ただいま。何してたの?」

「うーん……あのね」

そう言った後に困ったような顔をする。

「私の胸、小さいと思う?」


僕は意外な問いに驚いた。


「いいや。何でまた?」
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