龍とわたしと裏庭で【おまけの圭吾編】
裏庭の片隅で、しゃがみ込んでいる志鶴を見つけた。


コート姿で、帽子や手袋を身につけてはいるが雪まみれだ。


「志鶴?」


声をかけると、振り向きもせず『なぁに?』と返事をする。


「おいで。風邪をひくよ」


「ゆき……雪だるまを作ってたの。手袋の方にベタベタ雪がついて手が雪だるまみたい」


鼻にかかった妙に明るい声――

泣いていたのか?


そばに行ってこちらを向かせようとすると、手を振り払われた。


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