龍とわたしと裏庭で【おまけの圭吾編】
第十五話 気に入らない奴
「土曜日なのに学校へ行くの?」
朝早く、制服に着替えている志鶴の背中に向かって僕は言った。
「うん、ちょっとね」
その『ちょっと』って、何?
危うく口にしそうになった大人気ない言葉を、僕は飲み込んだ。
今日は君を独り占めできると思ったのに。
「航太がね、陸上の遠征でうちの学校に来るんだって」
志鶴がスカートの襞を引っ張りながら言う。
「ふうん」
僕は気のない返事をしながら、内心焦っていた。
吉川航太(よしかわ こうた)は志鶴の実家のお隣りさん。
同い年の幼なじみだ。
志鶴と仲良しなのは、彼の双子の姉、夏実(なつみ)ちゃんの方ではあるが。
実のところ、僕はこの少年が気に入らない。
朝早く、制服に着替えている志鶴の背中に向かって僕は言った。
「うん、ちょっとね」
その『ちょっと』って、何?
危うく口にしそうになった大人気ない言葉を、僕は飲み込んだ。
今日は君を独り占めできると思ったのに。
「航太がね、陸上の遠征でうちの学校に来るんだって」
志鶴がスカートの襞を引っ張りながら言う。
「ふうん」
僕は気のない返事をしながら、内心焦っていた。
吉川航太(よしかわ こうた)は志鶴の実家のお隣りさん。
同い年の幼なじみだ。
志鶴と仲良しなのは、彼の双子の姉、夏実(なつみ)ちゃんの方ではあるが。
実のところ、僕はこの少年が気に入らない。