龍とわたしと裏庭で【おまけの圭吾編】
「いいのか? あいつが喉から手が出るほど欲しがってるのは、あんたっていうより、あんたの家族じゃないのか?」


「鋭いな……」

僕はため息をついた。

「それでも僕には志鶴が必要なんだよ」


「馬鹿だな」

「男はみんなそうだろ?」

「まあな。俺だって、しーがあんなふうに笑わなかったら、あんたから取り返してる」


おい、それが本音か?


「何てったって、俺の後ろには夏実がついている」

奴はそう言ってニヤリと笑った。


こいつ――


「僕の後ろにも姉がいるよ」


自分でそう言ってから、僕は吹き出した。

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