NEXT STEP
その日の夜に日向先生宅に来た。



私は部屋に入り、先生と二人きり。



日向先生は覚悟を決めたかのように私を見つめ言った。




「ごめんな。梨音。」


「どうして尚人が謝るの?謝るのは私の方。ごめんなさい。」



私はソファから立ち上がりお辞儀をした。



「いや…。俺は気付いていたんだ。梨音の気持ちに。」



「…。」



「でも、悔しくて束縛した。」



日向先生は自分に呆れたかように笑った。



「ごめん。意地張って。」



私は首を左右に振った。



声を出すと泣きそうだった。




「別れよう。」




日向先生は私を見つめ、真剣に言った。




「うん‥。」



私は日向先生を見つめ、立ち尽くした。





「ごめんね。今まで、ありがとう。」



「俺の方こそ。」



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