NEXT STEP
日向先生は遠くを見つめたまま話を続けた。



「でも、大事な試合を前に、怪我をした。」


「えっ!」


「二度とバスケができないわけじゃない。でもそれから投げやりになってバスケから距離を置いた。でも今顧問してるのは、どうしても手放せないものだって気づいたから。」








何て言ったらいいかわからなかった。



「後悔‥してるの?バスケから離れたこと。」



「失敗はしたけど、後悔はしてない。自分の甘さに気付けてよかった。」



何て前向きなんだろう。




失敗‥か。


失敗を成功に変えた尚人は、どれだけもがき苦しんだんだろう。



その重さは私には計り知れない。
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