片恋★パンドラボックス
「……奈緒?」



「……。」



ほんの少しの沈黙の後、突然耳元で響いた、おにーちゃんの声。



いつもより低めのその声色はあまりにも真剣で。……告白される。そう気づいた瞬間、カッと熱が顔に集中するのが分かった。



「奈緒?」



「………。」



告白なんて恥ずかしい。



こんな真っ赤な顔見られるのは恥ずかしい。



でも、ちゃんとおにーちゃんの顔が見たい。



「奈緒?」



「……ん。」



戸惑いつつも、ゆっくりと顔を上げたあたしは、あまりにも真剣なおにーちゃんの瞳にドキッとして目を逸らしそうになるのを、ただただ必死に堪えた。

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