片恋★パンドラボックス
「あっ、奈緒。電話鳴ってる!」



「あっ、ほんと…あっ、切れた。」



「かけ直せばー…って、今度は俺のが鳴ってるし。はいはーい少々お待ち……うげっ。」



「ん?」



しんみりとした空気の中、チカチカと光るケータイ片手に優斗を見れば、未だ震え続けるケータイのディスプレイを見つめながら口元を引きつらせる優斗。



「……奈緒。」



「ん?」



突然、突き出されたケータイとげんなり優斗を交互に見つめながら、あたしは小首を傾げた。

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