片恋★パンドラボックス
いつもより人通りの少ない通学路。



人も疎らな駅のホーム。



電車に乗り込んだあたしは、向かいのホームを背に空いている席に腰掛けた。



あの人は誰?



おにーちゃんのなに?



あまりにもおにーちゃんがいつも通りだから訊きたいけど訊けない。



ただの友達かもしれない。だから気にしなければいい、って思うのに、向かいのホームを気にしてる自分がいる。



流れる景色に消えたあの女の人を、いちいち気にしてる自分がいる。

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