片恋★パンドラボックス
2人きりの通学路。



2人きりの時間。



優斗がバイトの日はバイト先のコンビニまで送るのが日課。



1ヶ月も経てばさすがに馴れてきたけど、未だ周りの目が気恥ずかしいのは、きっと優斗があたしの人生初の彼氏だから。……仮だけど。



「じゃあ、頑張ってね。」



「おー。張り切って新発売のお菓子出してくる。」



「“おー。”って、ほんとやる気ないねー。」



「いやいや、奈緒サン。俺、やる気満々ですから。」



「嘘ばっかり。」



「あっ、バレた?」



「バレバレー。」



「でも、まっ。明日のデート代の為に頑張りますか。」



「そうそう。」



「気をつけて帰れよー。」と言いながら店内に入って行く優斗に手を振り、クルッと踵を返したあたしは、少しだけ来た道を戻り駅のホームに入った。

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