片恋★パンドラボックス
「まっ、間に合っ…たぁー。」



相変わらずの駆け込み乗車。



優斗と一緒なら「あっぶねー。」と笑い合えるけど、今日は1人。



それでも入り口から一番遠い最近の指定席、2人掛けの席に座ってしまうのは、きっと1人で帰るのがほんの少しだけ寂しいから。



ゆっくりと動き始めた窓の外の景色を見つめながら、ふぅー…と、ひとつ息をついたあたしは、うっすらと額に滲んだ汗を手の甲で拭うと、スッと瞳を閉じた。

< 85 / 205 >

この作品をシェア

pagetop