片恋★パンドラボックス
「おにーちゃ…」



「あれ?奈緒?」



「えっ?おにー…ちゃん?」



「おう。」



夢かと思った。



瞬間、目の前にはニコッと小さく微笑むおにーちゃん。



「なん…で…」



「なんでって…家に帰っちゃ悪ぃのかよ。」



「いや、そうじゃなくって…」



恥ずかしい。もしかしなくても今の見られてた?



「あっ!もしかして、男とイチャコラしながら帰んの、にーちゃんには見られたくないとか?」



「イチャコラって…って、そーじゃなくって!」



「ん?」



「えっと、」



荷台からパッと手を退け、後ろに隠したあたしは、コテッと小首を傾げるおにーちゃんからスッと視線を逸らすと、少しだけ赤くなった顔を隠すように俯いた。

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