melt away


いつの間にか寝てたみたいだ。

目を開けると、シーツの模様が目に入る。


「んー…」


伸びをしたあと、大きな欠伸をした。

…あ、あたしベッドにもたれかかって寝てた


…。



「…………あ、」



パッと視界を上げると、ベッドから起き上がった彼が私を見ていた。



まばたきすらせず、

ただ真っ直ぐに、私を



その途端、私の体温が急激にあがる。


上手く喋ろうとしたけど舌がうまく回らなくて詰まってしまう。



「え、あー…あのっ。違うくて…。あの、昨日、こ」

「……うん。覚えてる、から。大丈夫。」


私の言葉を遮り発した彼



ドキン、と胸が高く跳ねる。

しっかり私に向けた言葉。

初めて交わした言葉。

"ゆうな"さんじゃなくて、私に。


テンパる私に冷静な彼。

よく見るとやっぱり綺麗な顔立ち。

パーマもよく似合ってるし、憧れの綺麗な髪の毛も相変わらず



モテる…よね、絶対。



「……何?」


やばい

見つめてしまった。

とっさに


「あ、あ、えと、綺麗だな、って」


なんて言ってしまった。


「…………。」



…最悪だ!

彼、無反応だよ…。

やっぱり変だったよね?

いきなり見つめられて綺麗とか言われて…

初めて昨日公園で会った彼を拾った(?)まま家にも入れてるし…

軽い女の子だって思われたかな!?

痴女とか!?

そういえば部屋も狭いし掃除してないし!


ああ、どうしよう!



「…ははっ、変だね、君」





「…え」





…初めて、笑って、くれた
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