melt away
無表情の時は冷たそうだし、無愛想だけど笑うとなんだか可愛くて…
優しそうに目尻を下げて柔らかく笑う彼に一瞬で釘付けになる。
ああ、やばい。
すごく、かっこいい。
胸がギュゥッとなるのが分かる。
ずっと見ていたいと思う。
…こんなの、初めてだ。
「…ね、」
いろいろ考えてたら、彼が声をだす。
私も我にかえり返事をした。
「あ、はい。」
「看病してくれてたみたいで、ありがとう」
もう笑ってはいなかったけど、起きた時に見た、警戒したような雰囲気はなくなっていた。
ただ、心を開いていないだけ。
…当たり前か。
こんなに早く心を開かれては私が心配になる。
「いえ、体調はもう大丈夫ですか?」
「はい。あ、と…もう仕事、行くんで、本当にありがとう」
…仕事。
夏樹と彼が就活中だと考えていた事を思い出す。
今、その彼が目の前にいる。
…なんだか、夢みたいだ。
泣くほど会いたかった彼が、目の前に。
そう思うと、もっともっとそばにいたくなった
会話がしたくなった。
もっともっと、しりたくなった。
「あ、の。名前…教えてください。」
いつまでも、思い出す時に彼、なんかじゃ寂しすぎるから。