melt away
「関係ないでしょう。あなたには。」
温度がない声色で私に注がれた言葉が胸に刺さる。
…痛くて、少し怖かった。
「…ご。ごめんなさい…」
青木さ…、彼を見ていられなくて思わず下に俯く。
だってまたあの目で見られたら、と思うと怖くて頭を上げられなかった。
そして彼は布団を綺麗に畳むと、財布からお金を取り出しテーブルの上に一万円を置いて声を出した。
「すみません。詮索されるの嫌いなんです。…あと、お礼です。」
事務的な言葉にショックを受けながらもお金を手にして彼に返す。
「結構です…。私が勝手に看病しただけですから、気になさらないでください。」
むしろ、私がお礼を言わなければ。
ちょっとだけでも夢を見せてくれたお礼を
もう現れないと思っていたのに現れてくれて、会話して、
「見ず知らずの男を助けて…、それに何か作ってくれていたようですし、受け取ってください。」
ちらっと台所を見た彼が言った。
…そういえばりんご、作ったまま冷蔵庫に入れてるんだった。
…まあ、いいや。
だってもう会わない気がするし。
…ダメ、だ。
そう考えたら、涙が出そうだ。
せっかくこんなに近づけたのに、睨まれて、お金もらって、
もう、会えないの?
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