melt away

「どうぞ、座ってください。」


ソファーに青木さんを案内して台所に移動した。

静かに青木さんが座る音がする。

それを確認したあと、私はお茶をコップに入れて青木さんの正面に座った。


「…どうも」


仏頂面の青木さんが小さく頭を下げた。

なんだかそれが可愛いくて、少し笑ってしまう。

今朝の事も含めて律儀なんだなと思う。


「それで、聞きたいことって…?」


そう尋ねると青木さんは顔を上げて口を開けた。


「あ、そう。御守り。知らない?赤の。拾ってない?公園見たけど無くて」

「御守り…?…………あ。」

「なに?」


拾った。

昨日助けた時に。

赤の小さな御守り。


「拾いました」

「え…まじ?ごめん、返してくれる?昨日いつ落としたとか覚えてなくて」

「あ、はい。確か私のバッグの中に…」


それにしても、昨日の夜の事覚えてるって言ってたけど何を覚えてるのだろう?

"ゆうな"さんを呼んでいたこと?

私に助けられたこと?



バッグを漁ると小さな御守りが鈴の音をたてて出てきた。

あった。


……………健康。



…何か病気…?



「ありました。」

「あ、それです。良かった。ありがとう。」
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