melt away

少しムッときた私は言い返す。


「あんたじゃないもん。愛理って名前がちゃんとあるもん。」

私がそう言うと青木さんは

「ブッ。」

と吹き出して笑った。


ちょっと小馬鹿にした笑い。


ムッ。




「えーと、愛理?いくつ?」


………わ、初めて質問された。
初めて名前を呼ばれた

しかも呼び捨てだ。




すごい嬉しい。


「は、はたち。」

「はたちの女が"あるもん"って…。もんって………。」


何にツボったのか青木さんはクスクスクスクス笑う。

突然の明るい空気に私は戸惑いながらも合わせて笑った。

…バカにされてるんだけど。


「わ、笑いすぎ………。」

「だってそんな奴俺の周りにいないし。」

「へ?だって青木さんすごいモテそう………。」

「当たり前。愛理みたいな子供っぽい奴がいないって事。」

「こ、子供?」

「うん。悲しんだり喜んだり顔真っ赤にしたりコロコロ表情変わるし、"もん"って………。」


また笑いだす青木さん。


しつこいよ……。


…それより、私、青木さんの前でそんなに表情変わるんだ。


「あー。面白い。」

「あ、青木さんも、」

「青木さんってやめて。気持ち悪い。修也でいいから。」

「…え。」


…………修也。


心の中で小さく呟いて見る



…………………ダア。


なんか恥ずかしい。
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