melt away

「お前さあ、ちょっとは料理くらいしろよ。」

「う、」

「やけに台所が綺麗だと思ったら使ってなかったんだな」

「違うもん…。時々するもん…」

「また"もん"って。」

「ごめんなさい…。」

「いや、面白いだけ」


壁に背を任せた修也はクスクス笑う。

そして少しケータイをいじった後、言った。


「行くぞ。用意して」

「へっ?どこに?」


修也は壁から離れ、脱いだスーツを着て荷物をまとめる。

そして早くお前もしろ、という視線を私に投げかけてきた

突然のことに戸惑いつつも、とりあえず寝室に行って、私服に着替えバッグを持った。


「お、お待たせ?」

「なんで疑問?」

「いや、なんとなく…。」

「ふー…ん…。」


すると修也は私をジッと見た。


全身に電気が走る。

修也の瞳が動く。

その視線が私の体の這いずる場所に神経が集中する。

ああ、やばい。

すごい熱い。

ただ見られてるだけなのに、クラクラする。


そんな私を知ってか知らずかその長い手を私の方へ伸ばしてきた

反射でビクッとなる私。

フ、と笑う修也。


「……髪の毛、捲いたりしないの?」


小さく動いた唇がそうつぶやく。

私の髪の毛を手に取り眺める。

あまり手入れに時間をかけない私のストレートの髪の毛は可愛らしさも女の子らしさも感じられない。

ああ、今更になって後悔する。


こんなに近くにいられるなら、もっともっと色んな場所、手入れしとくんだった。


「わ、たし、不器用で…。」

「…………へぇ、ネイルもしてない。」


次は私の手をとり眺める。

お願い、やめてほしい。


緊張じゃなくて、恥ずかしさが頬を染めていく
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