melt away

クルクル髪の毛を巻いてるのがわかる。

一束一束丁寧に

鏡がないから分からないけど、可愛くなってる気がする。

修也って器用なんだな…。

女の子の髪の毛も、セット出来るなんて。


…きっと

…違う女の子の髪の毛も…、したことあるんだろうな


ズキズキ小さく胸が痛む。

私に傷つく権利はないのに。


「修也は…。」

「…ん?」

「巻いてる髪の毛の方が好き、なの?」

「…………んー…。うん。」

「爪は、ちゃんと綺麗にしてた方が好き?」

「はは、んー…うん。まあ。」

「…そっか。」


それからは黙ったまま、ただ修也は髪の毛を巻いていった。

くるんとなった髪の毛が頬にあたる。

切なくなる。

私は全く修也の好みに当てはまっていなかった。

嫌だ、そんなの。

近づきたい。

少しだっていいから、修也の好みに

子供っぽいけど、修也の理想の女性になりたい。

こんなに近づけたんだから、終わりたくない。

修也の恋愛対象に入りたいの。


「はい、出来た。」



…きっとなれる。

ほら、だって修也の手でこんなに綺麗になれたから


私だって、修也がいれば、可愛くなれるって思うから。
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