melt away

鏡から修也を見て、少し微笑んでみる。

きっと修也の理想は綺麗で大人な女性なんだ。

私とは全く正反対の。

だから、逆にそれに近づきやすいんじゃない?








「……………うん、綺麗。」







そっと私の頬に触れた修也の手は、少し震えていた。




「………しゅ」

「………………"ゆうな"…」






修也の震える手に、重ねようとした手を、止めた。

聞き覚えのある、ある女性の名前。


…修也が公園で、私をそう呼んでいた。

"ゆうな"


…、誰なの?

好きな人?

彼女?

忘れられない、人?



教えて、ほしい。

でもしりたくないよ



「……………。」


「…あ。ごめん。」


黙り込んだ私に一言謝った修也は行こうか、と呟いてスーツを着た。


カバンを持ち玄関に歩きドアを開けた。


「……愛理?」


振り返って呼ばれた名前にハッとして顔をあげた。

"愛理"


良かった。


私の名前だ。
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