melt away

ハンドルにもたれて私の頭を撫でる修也。

…なんで、こんなに急に優しくなったの…?


私を見る目が、あまりに朝と違いすぎて戸惑ってしまう。

夜の街の光が視界の隅にうつる。


…修也の車から見る景色は幻想的で

しばらく修也の瞳から逃れられなかった。


それから信号が青になり、修也の手が私の頭から離れる。



「……………。」

「……………。」


無言が2人を包む。

私の心臓はまだ暴れたままで。

ちらっと横を見ると修也の横顔があまりにも綺麗で。



これは夢なんじゃないか?

朝、あんなにも他人行儀だった私たちが今、こんなに近くにいる。


あんなに触れたかった人が、手を伸ばせば届く距離にいる。


「………修也」

「ん?」


名前を呼べば返事をしてくれる。


「なんでもない。」


あまりに非現実的すぎて思わず流れる景色に目をやった。


きっと修也はモテる。

きっと色んな女の子をこんな風に助手席に乗せて、車を走らせる。

きっと私はその女の子達の中の1人なんだ。


きっと、きっと
< 37 / 54 >

この作品をシェア

pagetop