melt away
ハンドルにもたれて私の頭を撫でる修也。
…なんで、こんなに急に優しくなったの…?
私を見る目が、あまりに朝と違いすぎて戸惑ってしまう。
夜の街の光が視界の隅にうつる。
…修也の車から見る景色は幻想的で
しばらく修也の瞳から逃れられなかった。
それから信号が青になり、修也の手が私の頭から離れる。
「……………。」
「……………。」
無言が2人を包む。
私の心臓はまだ暴れたままで。
ちらっと横を見ると修也の横顔があまりにも綺麗で。
これは夢なんじゃないか?
朝、あんなにも他人行儀だった私たちが今、こんなに近くにいる。
あんなに触れたかった人が、手を伸ばせば届く距離にいる。
「………修也」
「ん?」
名前を呼べば返事をしてくれる。
「なんでもない。」
あまりに非現実的すぎて思わず流れる景色に目をやった。
きっと修也はモテる。
きっと色んな女の子をこんな風に助手席に乗せて、車を走らせる。
きっと私はその女の子達の中の1人なんだ。
きっと、きっと