melt away


…つーか


ここ、もう来る意味もないって思ってたのに

あっさり来ちゃったし。


自然と足が向いたのかなー…。


…あれ、俺、車…。


いつもなら車を公園の入り口付近に止める。


ちらっとそこを見る。



…………ある。


飲酒、した?


「………は…。」


頭がガンガンする。

体は熱くて火照ってるのに夜風が寒い。


頭いてぇー…

どんだけ呑んだんだ…。





…………いつか、

優奈に一度、フラれたことがあった。



あの時も、確かこんな風に葵と飲みまくって記憶飛ばしたっけ…。





…ずっと




手に入らなかった。



欲しくてたまらなくて


ムリヤリ引き寄せれば強い眼差しを向けられ

情けないけど怖じ気づいて、一歩下がって



それでもやっぱり苦しくて


どうにでもなってしまえ、と胸に抑え込めば、

泣かれて、



もどかしいほど、思い通りにならなかった。



どの女より、綺麗で、


可愛い、より綺麗が似合う女で




『……ごめんね、…好き…。』



やっと、

手に入った。




だけど


すぐにそれは指の隙間からこぼれ落ちて行った。
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