melt away
体を起きあがらせて、あくびをしたそいつ。

気持ちよさそうに伸びをしたあと、俺を視界に入れた。

俺はただそれを見る。



…てゆーか、

見るしか出来ない。






優奈が、そこにいた。



俺が見てきた優奈の正反対な優奈が、いた。


目をパチクリさせて俺を見るそいつは、優奈に見えてならなかった。


俺、頭おかしいのか?


女なら全員優奈に見えるのか?


いや、違うだろ。


だったらこの数日間遊んできた女達はどうなるんだよ。



なんで




…こんなに似てる?



「……あー…あの、えと、違うくて、昨日こ」

「………うん、覚えてる、から。大丈夫」



声、はあまり似てない。

少し残念に思ってる自分がいた。



…当たり前だろ、まじで優奈じゃないんだから。



それに実際、昨日のことなんて曖昧だから分からないんだけど。


「…何?」


しばらくそいつが俺を見つめるから、その瞳に問い返す。

すると顔を真っ赤にさせて

「あ、えと、き、綺麗だなって思って……」

なんて、つぶやいた。


………なんか、素直だな。

…ちょっと、可愛いなんて思ってしまった。


「ははっ。君、面白いね」


そう笑うとそいつは驚いた顔をする。

一番ビックリしたのは俺だけど。

でも、なんか笑わずにはいられなくて。


優奈じゃ、ないのに。
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