melt away


「あ、七瀬さん。おはようございます。」

「お、愛理ちゃんおはよう。」


朝、出勤している七瀬さんに会った。

まあ、受付嬢してるから会うのは当たり前なんだけど。


「あれ、愛理ちゃん、メイク変えたの?」

「え?いえ…。まったく。」

「本当?なんか可愛くなったね。」


にっこり笑って言う七瀬さんは不自然さがなくて、モテるのが分かる気がした。

…それにしても、可愛くなったね?

…久しぶりに言われたよ。そんなこと


「はは、七瀬さんお上手ですね」

「いや、本当にだよ。」


クスクス笑った後、七瀬さんはじゃあ、と言ってエレベーターに入って行った。

相変わらずスマート。

夏樹が羨ましい。














「悩んでる?」

「そうなの。昨日タバコ吸っててね。髪の毛グシャグシャーってして下向いてた」


今日は会社の近くにあるファミレスに入って昼食。

私はハンバーグ定食。

お決まり。

夏樹はパスタだけど。


「ふーん…。失恋とか?」

「やっぱりそうなのかなぁ…。」

「なに?ショック?」


ピタリ、と手が止まる。

夏樹と目を合わせるとフッと笑われた。

目をパチクリとさせる私は疑問だらけ。

ショック?

なんでよ。


「別に…。ただ情が出てきちゃったみたいで。」

「情?」


次は夏樹が目をパチクリとさせた。

そしてブッと吹き出す。


「ちょ。夏樹?」

「いやいや、うん。あははっ。」

「なに?なんなの?」

「何でもない。情っていうことにしとく」

「?????」


変な夏樹。
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